ガイドラインに基づいた正しい知識で治療します

「なんだか皮膚が赤く腫れて、かゆい…」
もしかしたら、それは「蕁麻疹(じんましん)」かもしれません。蕁麻疹は、多くの方が経験する、比較的よくある皮膚の病気です。当院では、日本皮膚科学会が発行する「蕁麻疹診療ガイドライン2018」に基づき、患者様一人ひとりに合わせた丁寧な診療を行っています。
蕁麻疹ってどんな病気?
蕁麻疹とは、赤い斑点(紅斑:こうはん)を伴う、一時的に皮膚が盛り上がる膨疹(ぼうしん)が突然現れ、強いかゆみを伴う病気です。出た膨疹は、数時間から長くても1日ほどで跡形もなく消えるのが特徴です。
さらに、蕁麻疹と一緒に起こったり、単独で現れたりすることがあるのが血管性浮腫です。まぶたや唇などの顔のほか、のどや消化管(胃腸など)に腫れが起こることもあり、症状によっては呼吸が苦しくなることもあるため、注意が必要です。
どんな症状が出るの?
膨疹とかゆみ
全身どこにでも出る可能性があります。大きさや形、続く時間は人によって様々です。
血管性浮腫
まぶた、唇、手足、のどなどに突然むくんだような腫れが起こることがあります。
その他の症状
まれに腹痛や発熱、気分の悪さ、息苦しさ、吐き気などを伴う場合があります。このような症状が出たときは、アナフィラキシーなどの可能性もあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
どうして蕁麻疹になるの?
蕁麻疹は、皮膚の中にある「マスト細胞」という細胞が刺激を受け、ヒスタミンなどの物質を放出することで起こります。これらの物質が皮膚の血管や神経に作用して、血管が広がり(赤み)、血管から体液が漏れ出し(膨疹)、かゆみを引き起こすのです。
マスト細胞が活性化する原因ははっきりしないことも多いですが、以下のようなものが考えられています。
- アレルギー:食物、薬、昆虫、植物、ゴム(ラテックス)など
- 物理的な刺激:こする、圧迫する、寒さや暑さ、日光、運動など
- 感染症(ウイルスや細菌など)
- ストレスや疲労
- 食品添加物
- 自己免疫(自分の免疫のかたより)
- 原因不明(特発性蕁麻疹)
どのように診断するの?
多くの場合、皮膚の状態や症状の経過を診察することで診断が可能です。原因がはっきりしない「特発性蕁麻疹」の場合は、とくべつな検査をしないまま診断することも多くあります。 ただし、アレルギーが疑われるときは、血液検査(特定のアレルギーを調べる検査)や、皮膚に少量の物質をつけて反応を見るテストを行うことがあります。また、物理的刺激(圧迫や寒さなど)が原因だと考えられる場合は、実際にその刺激を加えて皮疹が出るか確認する誘発試験を行うこともあります。
どのように治療するの?
蕁麻疹の治療目標は、かゆみや腫れなどの症状をコントロールし、最終的に薬を使わなくても問題なく過ごせるようにすることです。
薬物療法(抗ヒスタミン薬が中心)
- 最初の治療の選択肢(第一選択薬)は、眠くなりにくい「第二世代(非鎮静性)抗ヒスタミン薬」です。
- 効果には個人差があります。そのため、ほかの種類の抗ヒスタミン薬に変えたり、2つを組み合わせたり、量を増やしたりすることがあります。
- 蕁麻疹の症状が強いときは、医師の判断で通常の2倍量まで増やすこともあります。
- 蕁麻疹の出方(ほぼ毎日、たまに出る など)や内服を続ける期間などを考慮しながら薬を選びます。
その他の治療・対策
冷却
すでに出ている皮膚の腫れやかゆみを冷やして楽にする方法もあります。ただし、寒さが原因の蕁麻疹(寒冷蕁麻疹)の方には逆効果になることがあるため、医師の指示に従ってください。
原因や悪化因子を避ける
アレルギー物質や物理的刺激など、わかっている原因や悪化因子を見つけたら、できるだけ回避することが大切です。
原因に慣らしていく
圧迫や摩擦など特定の刺激が原因である「刺激誘発性蕁麻疹」の場合、少しずつ慣らしていく「寛容誘導」という方法をとることもあります。
ステロイド薬
外用薬(塗り薬)
ガイドラインでは、通常の蕁麻疹にはステロイドの塗り薬はあまり推奨されていません。
内服薬
症状が非常に強いときなど、短期間のみ使用することがありますが、長期的に飲み続けることは推奨されていません。
日常生活で気をつけること
- 疲れやストレスを溜めない
睡眠や休養をしっかりとりましょう。 - 感染症を予防する
手洗い・うがいなど、基本的なケアを心がけましょう。 - 特定の食べ物が悪化要因なら、医師に相談しながら制限
自己判断せず、専門家と相談してください。 - 物理的刺激を避ける
皮膚を強くこすったり、締めつけの強い服を着たりしないようにしましょう。 - 汗はこまめに拭く
汗が皮膚を刺激して症状が出やすくなる場合があります。 - アルコールを控える
お酒によって症状が悪化しやすくなる方もいます。
最後に
蕁麻疹は出たり引いたりを繰り返すため、「なかなか治らない」と感じることも多いかもしれません。しかし、適切な治療を続けることで症状はコントロールできるようになり、最終的には治っていく場合がほとんどです。
つらい蕁麻疹でお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。「蕁麻疹診療ガイドライン2018」に基づく正確な診断と治療で、皆さまの快適な生活をサポートいたします。
参考資料
日本皮膚科学会蕁麻疹診療ガイドライン改訂委員会『日本皮膚科学会蕁麻疹診療ガイドライン2018』(日皮会誌2018);128(12):2503-2624